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これからのDX ~Withコロナ時代のDX/AI活用をどう推進するか?~

コロナ禍で企業の設備投資額が1.2%減となる一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資の計画額は前年度実績比15.8%増となり、DXへの積極投資が増えていることが、日本経済新聞社  2020年度設備投資動向調査のまとめによりわかった。

新型コロナウイルスの感染拡大よって企業活動が変化を余儀なくされる中、ニューノーマルの世界で企業が生き残るために必要とされるDX/AIの活用について、課題を抱えている人も少なくないだろう。

2020年6月25日、SCSK株式会社 上席執行役員 古宮浩行氏と、株式会社アイデミー 代表取締役社長 石川聡彦が

「これからのDX〜Withコロナ時代のDX/AI活用をどう推進するか?」

をテーマに対談した。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに~SCSK古宮さんの講演から~DX時代は教育がビジネスの中核に
  2. 2.コロナ禍で急加速したDX
  3. 3.DXは業界を無限に融合させる
  4. 4.アフターコロナのビジネス環境をどのように捉えるのか?
  5. 5.SCSKとアイデミーが取り組むDXとは?


登壇者紹介

古宮 浩行

1984年にコンピューターサービス株式会社(現SCSK)に入社。情報系や基幹系の責任者を歴任後、2009年にCSK Winテクノロジ(現・Winテクノロジ株式会社)CEO就任。2014年からはSCSKのソリューション事業部門、2018年からは全社営業統括部門において、一貫して事業戦略企画やマーケティング戦略企画を担当。現在はDX技術開発センターの責任者として、共創を通したDX事業化をリード。中小企業診断士の資格を持ち、大学講師や自治体のDX委員などを兼務。業界を横断した様々なコミュニティ活動を行うなど、幅広く活動している。

石川聡彦

株式会社アイデミー 代表取締役社長。「Forbes U30 Japan 2019」選出。元歌舞伎子役。東京大学工学部卒、同大学院中退。AIの内製化ソリューションAidemyを提供。著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA/2018年)『投資対効果を最大化するAI導入7つのルール』 (KADOKAWA/2020年) など。

はじめに~SCSK古宮さんの講演から~
DX時代は教育がビジネスの中核に

──古宮さんのプレゼンは「これからは・・・教育がビジネスの中核になる」というテーマでした。今後の教育の在り方をどのように見据えていますか?

古宮

「教育がビジネスの中心になる」というのは私の本心です。『リアルビジネス3.0あらゆる企業は教育化する』という本がありますが、「お客様に対して提供するものは“モノ”ではなく”コト”である」というのが主題となっています。この”コト”とは教育です。このように、物事を教える”コト”がビジネスの中核になると思います。

遡ると、そのためには社員教育の重要性を再認識することが必要だと考えることもできます。会社やコミュニティの成長は、社員・所属メンバーの成長を超えることはないと思います。私は教育をビジネスとして考えるのではなく、教育とは社会生活すべてであると定義しているので、今回はこのようなテーマにしました。

──Society5.0は消費者が中心になっていく社会です。消費者の価値観が変わる中で、企業がいかに教育の重要性をお客様に気づかせるか、ということなのですね。石川さんのご意見もお聞かせください。

石川

アイデミーは教育を広義に捉えています。Aidemyを利用することでPythonをコーディングできるようになったり、AIや機械学習の知識がついたりしますが、これらは過程でありゴールではありません。企画職の方であれば、AIを武器にして新しいビジネスを考えて、エンジニアと一緒にプロジェクトを作ることで、お客様に喜んでもらい、最終的にはコストが下がるなどすることがゴールだと思います。アイデミーが考える教育は、その最終ゴールまで伴走することです。そういう形で教育の概念が広がっていくのではないでしょうか。

──石川さんは企業における教育の在り方の変化を感じていますか?

石川

Aidemy Businessの使い方としては、ボトムアップでスキルを身に付けると、リーダー層を見つけるケースがあります。ある大手通信会社にAidemy Businessをご利用したときのグラフをご覧ください。横軸が受講者で、縦軸が演習回数を示しています。

注目いただきたい点は、濃いオレンジ色で囲んだ部分です。特定の方はかなり専門的なレベルまで自主的に学習されています。会社が指定していないコースまで受講する大変意欲的なメンバーがいることが分かるのです。

こういう方は AIプロジェクトを背負って立つリーダー候補だと思います。ボトムアップで理解者を増やすことも大事ですが、「オーナシップをもって課題を乗り越えてやるんだ」 「AIを使って利益を出すんだ」と意気込むようなリーダーシップある方が必要です。

Aidemy Businessを活用してこうしたメンバーを特定すると、AIプロジェクトの成功率を飛躍的に向上させることもできます。

古宮

なるほど。面白いですね。教育は重要性を説けば説くほど悩みが生まれて、モチベーションを持っている人間とそうでない人間の差がどんどん開いてしまいます。Aidemy Businessを活用して意欲的なメンバーを特定すると、AIプロジェクトをより推進できるのですね。

私は25年間、月に1回勉強会を開いています。たしかに大変意欲的なメンバーは一定数いますが、会社全体の士気をあげたいという悩みがあったんです。石川さんのお話を聞いて少し悩みが解消されました。

コロナ禍で急加速したDX

──ここからはDXの展望についてお伺いします。将来に向けてDXがどのように変化していくと考えていますか?

古宮

DXについては、ビジネスにおける様々な課題に対し「攻め(社外)」と「守り(社内)」の2つに分けて考えることができます。私はこの「攻め」と「守り」のバランスが非常に大切だと思っているんです。新たなイノベーションを起こすことは「攻め」の部分ですが、現実は「PoC貧乏」であることが多くなっています。これは、我々の現状把握力に課題があることと、AI実装に関する様々な知識が現場まで行き渡っていないことが原因ではないかと思います。

従来のAI教育はあまり中身に踏み込みこんでおらず、実用的ではありませんでしたが、私は誰もが電卓と同じレベルでAIを使えるようにしたいと常に考えていました。そして、石川さんも同様のことをおっしゃっていたんです。誰もがAIを使えるようになるため、初心者に寄り添ってPython、機械学習やディープラーニングなどの知識を身につけることを目指している姿勢に非常に共感しました。それがきっかけとなりAidemy Businessの全社展開を決意しました。

我々だけではなく、お客様にも電卓と同じようにAIを使っていただき、会社・社会自体を変えて、誰もがAIを使えるような素晴らしい未来を構築したいと思います。

石川

「守り」については、コロナの影響でここ2〜3ヶ月で2〜3年分のDXが進んだのではないでしょうか。一方で「攻め」は、ビジネスの本質を少し変えていく部分がありますので、時間をかけて進んでいくものだと思っています。

先ほどAIは電卓のようになっていくのではないかというお話がありましたが、私たちも同じことを考えています。新しい製品・サービスのベースになるのは新しい技術であり、それが人々の生活を幸せにするという仮説を私は持っています。ここ10年間で一番早く進む技術がAIを始めとするデジタルだと思います。

今後、DXはますます進んでゆくと思いますが、その中でも正しいアプローチの仮説を立てることのできる人は、AIやデジタル、機械学習といったツールキットが頭にあるのではないでしょうか。そのようなAI人材が必要とされ、そういう意味でAIが電卓のように必須の教養になってくるのではないかと思います。

DXは業界を無限に融合させる

──DXと同様に、産業の構造変化も進みつつあると思います。業界によってDXが進むスピードの変化や特徴などありますか?

古宮

日本は総じてDXが遅れているという議論がされますが、私はむしろ”今から”だと思います。

トヨタ自動車が「モビリティカンパニー」を目指す旨を表明しました。私どもSCSKもモビリティに注力していて、車載システム事業部をモビリティ事業部へと変えました。自動車だけではなく、様々な移動手段に着目して発想を広げるのです。モビリティをDXで考えると真っ先に思い浮かぶのは自動運転でしょう。しかし、実は新しいビジネスを共に考えるという発想で考えると、共創先として観光業との連携が考えられます。他にも金融業と繋がる必要もあるのです。このように無限に業界が融合する業界改革が現れているという意味で、DXがますます進むと思います。

流通業界もコロナ禍によって大きく変わりました。特にスーパーマーケットは、コロナ対策として足を運ばなくても商品を配達してくれる仕組みが構築されています。今までと違うことが一気に進んでいるので、今後は業界に関係なく変わっていくような気がして仕方ありません。

──AIの取り組みを業界別で見ると、製造業はAI導入が早いという印象はありますか?

石川

製造業が最も危機感を抱いているのではないでしょうか。従来はソフトウェアとハードウェアの世界がはっきり分かれていましたが、ここ5~10年間でその境目が消えてきました。例えばGoogleやAmazonが家電を販売したり、IT企業が自動運転車を走行させたりしています。古宮さんが仰る通り、様々な業界の融合を背景に、特に製造業中心に素早い変革が起きると思います。

従来のSociety4.0といわれる情報社会では「広告」が変化しました。新聞やテレビなど、いわゆるオールドメディアの立ち位置が相対的に下がり、デジタル広告が台頭したことで、今ではテレビ広告を上回るまでになりました。一方でSociety5.0では全ての産業が大きく変化します。特に危機感を強く持っているのが製造業だと思います。

アフターコロナのビジネス環境をどのように捉えるのか?

──アフターコロナのビジネス環境についてどのように見ていますか?

古宮

コロナ禍以前に戻らなければならない事例は多くあると思います。例えば観光業ですが、とにかく観光客に来てもらわないとビジネスが成立しません。

しかし、私はこの機会に全て変わるべきだと思います。

  1. コロナ禍以前に早急に戻らなければならないこと
  2. コロナ禍以前に戻らなくていいこと
  3. コロナ禍以前に戻ろうとしても戻れないこと

それぞれの事象がこの3つのどれに分類すべきかをしっかりと認識して新しい社会Society5.0を実現したいですね。

実は弊社は4月に組織を改変して、私には今まで面識のなかった新しい部下が増えたのですが、そんな一度も会ったことがないメンバーと一緒にとある地方自治体向けにDX勉強会を行って、大成功させました。打ち合わせはオンラインで行い、実際に会ったことがないメンバーなのに、一緒にプレゼンができるって素晴らしい事だなと思うのです。このような社会を日本だけでなく世界全体へどんどん広げたいです。

石川

ベンチャー企業の視点からすると大チャンスだなと思います。コロナ禍や新しいデバイスの誕生など、社会の動きが大きく変わる時こそが新興産業が入り込めるチャンスです。社会やデバイスが変わらなければ既存プレイヤーが強く新興産業が入り込む余地はありません。コロナの影響により生活が一変することで、今までなかった生活様式が生まれていると同時にビジネスチャンスも生まれるのです。ベンチャー企業としてはチャンスだと思います。

現在のような激動の時代は、ベンチャー企業だからというだけではなく、大胆な行動をする方が後悔しないのではないかと思います。

古宮

そうですね。今は企業ではなくコミュニティが軸となって色々な変化が起こっている社会です。業界連携も1つの形態かもしれませんが、一企業、つまり自分が属している企業が全てではない時代になるのではないでしょうか。アイデミーもユーザーコミュニティがあり、そこで新たな価値が生み出されることもあると思います。

石川

様々な業種とのコラボレーションがまさしく加速してきました。この先、アイデミーも様々な企業とコラボレーションをしていきたいと考えています。一ベンチャー企業としてお伺いしたいのですが、歴史もあり、また組織としても大企業であるSCSKさんですが、1つの成果物を作り上げるとき、社内で完結することを理想としている方が多いのではないでしょうか。

古宮

聞きにくいことを、ズバッと聞きましたね。

弊社は2019年1月から副業を解禁しました。上司の決裁は必要なく(同業他社との副業の場合は要決裁)、申請だけで副業できるようハードルを下げています。社外で経験したことを社内で活かそうという思いで、私どもは取り組んでいます。これからはオープンマインドが必須ですね。

──会場からの質問で「年齢層が高めの会社ではどのように保守層の気持ちを変革していけば良いのか?」という質問がありましたが、古宮さんが仰ったように副業を解禁して、社員が異業種異分野の知見を見ることによって新しい風をいれることも、この質問に対する1つの答えだと思います。

古宮

そうですね。副業はどうしてもメリット・デメリットを考えてしまいます。社内の情報や人材の流出がデメリットとして思い浮かびますが、メリットの方が絶対に大きいはずなのです。

──石川さん、ベンチャー企業の立場からはどのよう考えていますか?

石川

アイデミーでは小さい組織ならではの強みで抵抗勢力は生まれにくいですね。ただ、弊社のお客様には、現場の方にメリットをどう理解してもらえばよいか、という課題を抱えているケースもあります。

新しい技術や様式をスッと受け入れられる方は稀でしょう。自分が知らない物、知らない事を遠ざけてしまうことは人間の性質だと思います。怪訝な顔をされる方は、単純に新しい技術に触れていないからです。

かつてガラケー(ガラパゴス携帯)を使っていた私が最初にスマホを触った時は、「スマホなんて不便だろう」「ガラケーのボタンを押す感じが良いのに」と言っていました。でも、いざ使ってみるとやはり便利だと理解できた経験があります。こうして実際に触れてみると意見が変わることもあるので、教育研修を行って難しくないと分かれば理解者も増えてくると思います。

SCSKとアイデミーが取り組むDXとは?

──最後の質問です。お二人は今後DXについてどのように取り組む予定ですか?それぞれの事業の立場と責任者の立場から教えてください。

古宮

コロナ禍によって、今まで変えられなかったことが一気に変わる可能性があるでしょう。大きな変化はこれからだと思いますので、今起こっていることは前哨戦でしかありません。

そのときに鍵を握るのがやはりAIです。これは単なるブームではなく、色々なことを変革できるバックグランドがあると思いますので、AIを教育運用という面からツールやクラウドの仕組みと組み合わせたいです。我々はAIの仕組みを進化させ、相乗効果でどんどん社会を変革することに役立ちたいと思います。

──石川さんはいかがですか?

石川

アイデミーのミッションである「先端技術を経済実装する」を体現し続けたいです。その先端技術の中心がAIをコアとするDXだと思います。アイデミーは、AIや機械学習を自身の頭にインストールして新しいソリューションを提供する人を支援させていただきたいです。

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