目次
概算要求とは?企業のGXにどう活かす?
令和7年度の概算要求が8月末に各省庁から公表されました。
経済産業省:令和7年度概算要求・税制改正要望について
環境省:重点施策・予算情報
GX関連では、経済産業省が『GX・脱炭素エネルギー』向け1兆2,487億円(令和6年度当初予算額:9,670億円)、環境省が『GX推進対策費』として2,318億円(令和6年度当初予算額:204億円)の要求額となりました。
概算要求とは?
概算要求とは、各省庁が見積もった次年度に実施する政策に必要な経費を、財務省に概算予算として要求するもので、例年8月末に公開されます。
【予算編成プロセス】
概算要求の内容は、来年度の政策や補助事業の方向性を把握する上で大変有用です。具体的には、事業概要と予算額に加え、前年度予算からの増減、新規・継続 などが公開されます。
市場創造に向けた政策誘導のインパクトが大きいGX領域において、前年度のうちからあらかじめ予算動向を知っているかどうかは、事業戦略にも影響すると言えます。
【予算事業と事業戦略への影響例】
- 研究開発:リスク資金の調達、技術動向の把握
- 設備導入:リスク資金の調達、
- 市場動向の把握消費者向け導入補助:政府補助を活用した消費者向けマーケティング
- 経営高度化/モデル事業/調査事業:制度、ガイドライン、ルールの把握
速報!令和7年度概算要求~企業向けのGX設備投資関連事業~
経済産業省と環境省の概算要求のうち、企業向けのGX設備投資関連事業をピックアップしてご紹介します。ご紹介しきれない事業もありますので、『概算要求情報の読み解き方』 を参考に自社に関連する事業をぜひ探してみてください。
経済産業省
- 生産設備
- GXサプライチェーン構築支援事業:777億円
- 蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業:1,778億円
- 排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業:870億円
- 持続可能な航空燃料(SAF)の製造・供給体制構築支援事業:838億円
環境省
- 再エネ/省エネ設備
- 建築物
- 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業:266億円
- 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業:100億円
- モビリティ
- 商用車の電動化促進事業:444億円
- ゼロエミッション船等の建造促進事業:143億円
- 環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業:33億円
- その他
概算要求情報の読み解き方
概算要求情報は各省庁のホームページより入手可能です。ここでは、経済産業省、環境省を例に読み解き方をご紹介します。
全体像の把握
政策の背景や全体像の理解には「経済産業省関係 概算要求等概要」「環境省重点施策」が役立ちます。全体の予算規模を前年度当初予算額との対比しながら確認できる他、政策テーマごとに政策背景と関連する個別事業を一覧で把握することができます。
【例:令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要(抜粋)】
これらの情報は、自社ですぐに活かせる補助事業を探す以外に、(1)新規で要求されている事業、(2)予算規模、(3)前年度予算額からの増減、などから各省庁の重点施策を読み解き、今後市場創出が期待される領域への新規参入を検討するといった活用方法もありえます。
個別事業内容の確認
個別事業の概要は、経済産業省は「PR資料:GX推進対策費/エネルギー対策特別会計」、環境省は「重点施策集/令和7年度エネルギー対策特別会計事業概要」より確認可能です。事業目的や概要の他、事業スキームが公開されており、事業対象者、補助対象、補助率などを把握できます。
また、「新規」以外の事業については、前年度予算等で既に事業が開始済みで、インターネット上に制度詳細や公募情報が掲載されているケースが多くあります。(具体的には、令和7年度概算要求資料掲載の事業が、令和6年度当初予算、令和5年度補正予算において既に開始しているケースがありえます。)
関心がある事業については、事業名称や事業スキームに記載の交付先機関名等をヒントに検索してみましょう。事業によってはこれから公募開始予定で、令和6年度中から応募可能な場合もあります。また、公募終了となっていても、令和7年度も事業内容は大きく変化しない可能性が高く、今から情報収集することで、準備期間を長く取れるメリットがあります。
【例:経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:GX推進対策費)(抜粋)】
【例:令和6年度GXサプライチェーン構築支援事業】
事務局ウェブサイト
最後に
今回は令和7年度概算要求速報と企業GXにおける活用方法をご紹介しました。概算要求に記載された内容が来年度の政策にどう反映されるか、予算編成プロセスの節目ごとに内容をフォローして、いち早く情報収集しましょう!
企業GXにおいて予算をはじめとする政府動向は、リスクを抑えた事業推進が可能になるのはもちろんのこと、支援策を活用しない場合でも技術動向や市場機会を見極めるヒントになり、事業戦略に活かすことが可能です。
今後もアイデミーでは、GXに役立つ情報をお届けしていきますので、ぜひご期待ください!
また、GXに欠かせない先端技術や背景知識をビジネス視点から学べるサービス『Aidemy GX』などを展開しています。
政府施策の活用の前提となるGX知識獲得や人材育成にも対応しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
出典
- 経済産業省:令和7年度概算要求・税制改正要望について
- 環境省:重点施策・予算情報