脱炭素やGXの企業経営における重要性が高まり、サステナビリティ部門以外でも関連の取組を求められることが増える一方で、企業の脱炭素やカーボンニュートラルに必要な知識は多岐にわたり、何から学べばいいのか分からないといった課題を耳にします。
本記事では、脱炭素アドバイザー資格の認定制度で求められている知識内容やその水準から企業のGXに必要な知識を考えます。
脱炭素アドバイザーとは
脱炭素実現に向けた企業の取組を推進する人材の育成にむけて、環境省が進めているのが脱炭素アドバイザー資格の認定制度です。企業の脱炭素を外部支援するアドバイザー人材や企業内で自社の取組を担う人材に求められる専門知識やその水準をガイドラインで定め、準拠した資格制度を環境省が認定することで、脱炭素経営に必要なサプライチェーンを含めたGHG排出量の算定、削減目標・計画の策定、実行に必要な知識を備えた人材を増やすことを目的としています。
具体的には、「脱炭素シニアアドバイザー」「脱炭素アドバイザー アドバンスト」「脱炭素アドバイザー ベーシック」の3つの認定レベルが設定されていて、2024年10月7日時点では「脱炭素アドバイザー アドバンスト」として2資格が、「脱炭素アドバイザー ベーシック」として5資格が対象となっています。
出典:環境省(脱炭素アドバイザー資格の認定制度)
脱炭素アドバイザーで求められる知識と企業GX
脱炭素アドバイザー資格の認定制度では、各レベルについて求められる役割と知識水準が定められています。企業のGX人材育成担当者であればプログラムの設計に向けて、GX知識を取得したい個人であれば学習計画を検討するにあたり、ガイドラインの考え方を参照するのは有効です。早速、認定レベルごとに設定されている対象者、役割、知識水準をみていきましょう。
課題や相談内容を把握できるフロント職員「脱炭素アドバイザー ベーシック」
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脱炭素に関する顧客とのコミュニケーションの前線に立ち、顧客の状況に応じて必要な対応を見定める営業職員
役割:
気候変動対応の必要性の説明、脱炭素経営・温室効果ガス排出量削減に関する企業からの相談内容の把握ができる
適切なアドバイスができる中核職員「脱炭素アドバイザー アドバンスト」
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脱炭素に関する顧客アドバイスの現場において、中核的な役割を果たす職員
役割:
脱炭素経営の重要性(リスク・ 機会)、温室効果ガス排出量の計測方法・削減手法について説明ができる
専門的なコンサルティングに従事する「脱炭素シニアアドバイザー」
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企業の本部・脱炭素専門部署等で専門的なコンサルティングに従事する職員
役割:
企業の脱炭素経営に対し、包括的なアドバイス(GHG 排出量計測の方 法、削減手法の例示、削減による排出コストの低減と移行措置コストの考え方など)を提供できる
最後に
本記事では、脱炭素アドバイザー資格の認定制度を参考に企業GXに必要なスキルを整理しました。
脱炭素アドバイザーは企業GXのうち「守りのGX」にあたるGHG排出量算定、削減計画の作成と実行、情報開示によりフォーカスした内容になっています。これらの知識は「守り」の業務に携わる方はもちろん、顧客の脱炭素を支援する「攻めのGX」に関わる方にとっても、顧客の業務と置かれている状況を理解する非常に重要なものです。GXで求められるスキルが非常に多岐にわたる中、本制度での整理は中核となる知識を把握する上で大変有効ですので、是非活用してみてください。
また、弊社オンライン学習サービス(Aidemy GX)では、脱炭素アドバイザー資格やGXスキル標準で示された学習テーマに該当するコースを幅広く提供しております。職種に求められるスキルを踏まえたGX人材育成プログラムづくりなど、実務に直結するスキル獲得につながる人材育成に伴走しています。
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出典
環境省:「脱炭素アドバイザー資格の認定制度」