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大和証券のDX事例から学ぶ。金融業界のDX推進術と牽引人材の育成法(後編)

不動産アセット・マネジメントビジネスや再生可能エネルギーへの投資、農業ビジネスへの参入など、さまざまなハイブリッドビジネスに取り組み、事業ポートフォリオの拡充が進む大和証券グループ。
その主要子会社であり、主として有価証券の売買等に係る業務を行っているのが大和証券株式会社(以下:大和証券)です。

DXという言葉が世の中に急速に浸透し、金融業界でも生き残りをかけて業務プロセスや組織の見直し、さらには、新たな事業領域への挑戦など、変革が求められる時代となる中、大和証券では、いったいどのようにDXを進めているのでしょうか。
デジタル変革に伴走する株式会社アイデミー 代表取締役執行役員 社長CEOの石川聡彦が3回の連載を通じて迫ります。

後編となる本記事では、IT統括部デジタルIT推進室の植田信生室長に、DX人材育成の背景、DX人材育成のための具体的な方法などについて伺いました。

前編:大和証券のDX事例から学ぶ。金融業界のDX推進術と牽引人材の育成法(前編)
中編:大和証券のDX事例から学ぶ。金融業界のDX推進術と牽引人材の育成法(中編)

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大和証券_植田様

―DX人材の育成に取り組み始めた理由は何だったのでしょうか。

DXの進展により社会・経済が大きく変化する中で、当社でもあらゆる部門・事業領域で今まで以上にデジタル技術を活用し、ビジネスを強化していく必要があると考えました。

しかしながら、IT関連市場の規模の拡大はIT人材、特に先端IT技術を担う人材不足の拡大につながります。IT人材を新たに獲得することも大切ですが、当社内においても、デジタル技術を活用しビジネスを変革していく人材としての「デジタルIT人材」の育成をすべきと考え開始しました。

ー世の中の変化や状況を踏まえ、DX人材の育成が必要と考えたのですね。どのような全体像を描いて人材育成を進めたのでしょうか。

当社の人材育成では、大きく2つの枠組みが存在しています。

全社員のデジタルリテラシーの向上・スキル習得を目的とした「Daiwa Digital College」と、当社のビジネス変革を牽引する高度人材の育成を目的とした「デジタルITマスター認定制度」です。

「Daiwa Digital College」では、前述の通り、全社員のデジタルリテラシー向上に重点を置き、基礎的なスキル習得を目的とした「全社員必修課程」と、各部門の業務に応じた実践的なスキルの向上を目的とした「部門別専門課程」が存在しています。

「デジタルITマスター認定制度」はデジタル技術を活用し、ビジネスを変革する「デジタルIT人材」の育成を目的に、2019年10月より開始しました。当制度は、社内公募にて希望者を募り、その中より選抜した人材を専門研修やOJTを通じ約2年をかけて育成するプログラムです。2023年6月現在、第1期・第2期の中から92名がデジタルITマスターとして認定されています。育成プログラム参加中の第3期に加え、新たに第4期が選抜されプログラムを開始しています。

今後も順次、認定基準に到達した人材をデジタルITマスターとして認定していきます。

ー具体的な制度を新設したり、DX人材育成の目的を部門別に設定したりされたのですね。DX人材育成をするうえで気を付けた点や注意点はございますか。

「マインドの醸成」を通じた「社内文化を変革させること」です。
前回(中編)ご説明した通り、あらゆる部門・部署が自律的にDXを推進していくためには、経営層やマネジメント層がデジタル・データ活用を自分事として捉え、リーダーシップを発揮することが重要です。

同様に、人材育成にあたっても経営層やマネジメント層がその重要性を理解していることがポイントとなっています。そのため、役員・各部室店長向けの研修を実施し、マネジメント層を対象としたマインド醸成を図っています。

ーDXを推進するために、DXを自分事として捉えるマインドの醸成は重要ですよね。そのような中で御社が求めるDX人材像や、育成対象の従業員に期待することはなんでしょうか。

先にも述べている通り、当社での「デジタルIT人材」の定義は、デジタル技術を活用し、ビジネスを変革する人材です。「デジタルIT人材」は各本部部署にて、デジタルを活用した変革案件に継続的に従事することで、当社のビジネス変革を加速させていくことを期待しています。

一方で、「デジタルIT人材」だけではなく、全社員がDXを自分事として捉え、データやデジタルを起点とした現場発信でビジネスモデルの変革を目指すことが欠かせません。データ活用やデジタル化はIT部門や専門家がやってくれるものという従来の考えは誤りであると、社長自ら役員や社員に発信しています。現場発信での変革やアイデアの創出には、現場にいる全社員がデジタルの素養を身につけることが重要です。

社員一人ひとりが、チャレンジングな業務に挑戦して、自らのスキル・バリューの最大化を目指してほしいと考えています。

ーDXを通して組織に変革をもたらすには、特定の人物だけではなく、全社員が一丸となって進むことが重要ですよね。ここまでDX人材育成に取り組んでこられましたが、今後大和証券はどのようになっていくのでしょうか。

将来を予測しづらいVUCAの時代と呼ばれる現在、企業にも変化への対応力が求められる事業環境となっており、テクノロジーの進化は変化のスピードに一層拍車をかけていると感じます。当社でも4月よりDaiwa ChatGPTを導入しておりますが、テクノロジーのビジネス活用が広がる中で、IT人材に対する需要は年々増大しています。

一方でIT人材が大幅に不足し、供給が間に合わないことは明らかです。当社が市場で通用する競争力を維持していくためにも、多様な人材を登用しつつ社員各自の能力を活かしていくことが、必要不可欠と考えています。

今後も大和証券は、DX先端企業の一端として、様々なDX戦略を実行していきます。

石川聡彦

石川聡彦

株式会社アイデミー
代表取締役執行役員 社長CEO

東京大学工学部卒。同大学院中退。在学中の専門は環境工学で、水処理分野での機械学習の応用研究に従事した経験を活かし、 DX/GX人材へのリスキリングサービス「Aidemy」やプロジェクトの企画から運用までを一気通貫で支援するDXプロジェクト伴走支援サービス「Modeloy」を開発・提供している。法人向けオンラインDXラーニング「Aidemy Business」は大和証券様をはじめ、金融業界でも活用が進む。著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA/2018年)、『投資対効果を最大化する AI導入7つのルール』( KADOKAWA/ 2020年)など。世界を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019」「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」選出。

DX人材育成サービス「Aidemy Business」

未経験からでもDX推進に必要な知識を習得できます。無料トライアルも実施中

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