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MI(マテリアルズ・インフォマティクス)モデルの作成、古河電気工業株式会社様【導入事例_Modeloy、Lab Bank】

私たちアイデミーが提供するModeloyは、ナレッジをお客様の社内に残しながらDXプロジェクトを成功に導く、これまでにないソリューションです。今回は、古河電気工業株式会社 デジタルソリューション部およびポリマー材料開発部の皆様をお迎えし、Modeloyでサポートさせていただいた同社のマテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)の取り組みにおける機械学習モデルの開発と研究データ収集ツールの開発についてお話を伺いました。

古河電気工業株式会社
喜瀬氏:デジタルソリューション部部長
市川氏:デジタルソリューション部課長
大谷氏:デジタルソリューション部リーダー(MIモデル開発の中心的存在)
川邊氏:デジタルソリューション部メンバー
芦川氏:ポリマー材料開発部 メンバー

1列目中央より反時計回りに 喜瀬氏、芦川氏、市川氏、川邊氏、大谷氏
以下アイデミー 佐藤、石橋、木之内、甘粕

プロジェクトがどう始まったのか

ーー弊社が最初に古河電気工業様のご支援に関わらせていただいたのは、ポリマー材料開発でしたが、Modeloy導入にいたった背景や導入後の変化について教えてください。 

喜瀬氏:
我々DXIC(※1)は社内事業部門の課題に対して、データを受領して、分析し、課題解決のソリューションを開発する部隊ですが、従来は個別で分析を行っていました。一方で、世の中ではデータ基盤がトレンドになっており、我々も共通のプラットフォームで分析を実施できた方が、今後MIを推進させていく上で効率的だろうと考えていました。いろいろ調査をしている中で、アイデミーさんにもご相談するようになり、様々な事例を交えながらご提案いただいて少しずつプロジェクトが具体化したのが始まりでした。

※1:デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンターの略

ーーポリマー材料開発部の芦川さんの視点では、どのようなきっかけでプロジェクトが始まったように感じていらっしゃいますか。 

芦川氏:
材料開発は、数十種類もの材料の配合を最適化するために、数ヶ月を費やすこともある非常にコストのかかる業務ですが、以前からここにMIを活用できるのではと考えていました。その後、コロナが流行しテレワークを余儀なくされていた時に独学で勉強を始めました。インターネット調べてみるとベイズ最適化などが有効だと考えたものの、プログラム作成の経験がなかったために行き詰まってしまいました

ちょうどその頃、DXICのセンター長の野村からMIに関して外部の支援を受けることができるという話があり、その場で手を挙げて支援をお願いすることにしました。

Modeloyの効果

ーー貴社にはMIの専門家がいらっしゃるため、Modeloyが提供できる価値について考えていましたが、実際にはどうだったでしょうか。 

大谷氏:
まず、当社で実施してきたMIは100〜1000件程度の実験データを用い、材料の特性を最適化するものがメインです。アイデミーさんにMIへの助力をお願いした背景には、工数の問題がありました。DXICが受領するデータは整理されていないExcelファイルであることが多く、まずはそれをデータ解析に使える形に整え、機械学習モデルを作成する必要があります。この作業を今まで一人で行ってきましたが、案件が増えるとその対応も次第に難しくなりました。MIをやりたい気持ちがあっても、実際にプログラムを動かすのはハードルが高いと感じる実験・開発メンバーも多く、かといって教育や解析の人員を増やすこともなかなか難しい中、汎用的な枠組みをアイデミーさんから提案していただいたことで、問題解決へと繋がりました。

喜瀬氏:
芦川以外のDXICメンバーには対象の研究に対するドメイン知識がないため、アイデミーさんのデータサイエンティストやエンジニアと一緒にプロジェクトを進めていくのと同様のアプローチを、日頃から社内でも取っており、違和感なく進めていくことができました。

ーー今後、データサイエンスと原材料の特性などのドメイン知識は融合されていくのでしょうか?。 

芦川氏:
MIを活用したとしても、最後はドメイン知識で確認する形になると思っています。ただ、最終確認するまでの途中の探索ステップをMIで短縮できる点が、MIの一番の魅力だと思っています。たとえばMIだと、突拍子もない組成が提案されてきて、実際に調合すると外観がざらついて採用できないようなモノが出来上がってしまったことがありました。本来であれば、このような外観が悪いと予想される組成は最初から試作しません。しかし、MIで目的変数に設定した特性は確かに良いので、これをベースに、あとは我々のドメイン知識で調整して良いものにしていく。そのようなことができると、途中のステップをMIで飛び越えられて、開発期間の短縮につながり、いろいろなメリットが出てくると思っています。

ーーアイデミーでは、その後も「Lab Bank」やデータ基盤などを構築するご支援を継続的に実施させていただいていますが、全体を通してのサポートはいかがでしょうか? 

川邊氏:
まず、レスポンスの早さに非常に驚きました。
例えば、アイデミーさんから提供いただくアプリのソースコードを、我々がデプロイする時に生じる疑問点をTeamsで質問することがあります。すると、エンジニアの方がすぐに通話で対応くださり、こちらも分からないところを先延ばしすることなく解決できるので、手厚いフォローをしていだけていると感じています。

市川氏:
私は、社内でPMのような立場としてプロジェクトを進めることもあるので、そういった意味での立ち振る舞いが非常に参考になっています。何のための作業なのかを明確化するために、適切にケアを行い、使い回ししやすい資料を出すなど心がけるようになりました。これまでのアプローチでは1人1テーマが多かったので、チームでのプロジェクトを円滑に進行させるための経験は少なかったこともあり、このタイミングでModeloyの支援を受けることができ、MIのみならず、プロジェクトを回すという点でも参考になりました。

ーーModeloyは内製化を目指すサービスということもあり、支援させていただく際には人材育成も重視しています。貴社では、導入当初から人材育成に対する期待値はございましたか? 

喜瀬氏:
そうですね、想定していなかったところではありますが、プロジェクト初期段階のヒアリングの深さには驚きました。
ポリマー材料のデータをデータベース化する際、「このデータはどのように作成されているのか?」「どのような状況でこのデータを参照しているのか?」といった質問がありました。ドメイン知識を持ち合わせてないITチームだからこそ、具体的なデータの活用シーンまで深く掘り下げてヒアリングする姿勢は学びが多いと感じました。私たちの理解も一緒に深めることができ、現場とつながる橋渡しをしてくれたように感じています。

芦川氏:
私は、Lab Bankの件でエンジニアの方から「Lab Bankを操作する際、目線をどう動かしていますか?」と質問され、目線なども考慮してシステム開発を行うのかと驚きました。

今後の展望

ーーMIは今後ますますの発展が予想されますが、MIを活用できるメンバーを増やしていくために、どのような方にハンズオンなどのサポートが必要だと思いますか。 

大谷氏:
やはり、現場で実際に材料開発に携わる人がMIにも興味を持ってデータ活用を進めてくれれば、一番成果が出ると思います。しかし、研究員はそれぞれ自分のテーマが忙しく、MIを独自に学んで推進するのは難しい状況でもあります。的確な教育プログラムやその支援ツールがあるとハードルが下がっていいなと考えています。

ーー声が上がるような仕組みができれば、MIを推進したいけど推進できない人をうまく発掘できるのではないかと思いました。やりたいことを明確化させるために相談会やアンケートフォームなどを用意して、次のステップの道筋を一緒に決められるといいかもしれないですね。 

喜瀬氏:
社内でも挑戦したいと思っている人は一定数いますが、時間が取れなかったり、スキルが足りなくてできなかったりする人がいるようです。スキルもある程度あってデータ活用する意識が高い芦川のような人がいるチームでは進んでいるけれども、そうではないチームは、新しいプロジェクトが始まるところに一緒に入って意識を高めていくのも良いと思っています。

MIを推進してみたいと思う人に、支援中のプロジェクトの打ち合わせに出てもらうなど、小さなステップから巻き込みながら 「その段階からでもできるんだよ。」と発信していくのがひとついいメッセージかもしれないですね。

ーー最後に、MIの推進によって省力化できた時間を新たな価値を創出する活動に当てることで、コストダウンだけでなくバリューアップの達成につながったことはございますか。 

芦川氏:
MIを活用することは、コストダウンの視点だけでなく、短期間で開発することで、他社に対する競争優位性を築くことができバリューアップへつながる活動とも捉えています。特に長期的に使われるような材料であればバリューは大きくなると考えています。

喜瀬氏:
私もMIを活用することで、コストダウンにもバリューアップにもつながると思っています。例えば、芦川の部隊では、複数の研究テーマがあり、そのうち1つでも研究開発が加速すれば、相乗的に大きな効果があると考えています。MIを推進している会社とそうでない会社の間にはおのずと差がつきますし、次の研究開発のバリューアップにもつながると思っています。我々としては、例えば何時間もずっと顕微鏡を見ていないといけないとか、そういった負荷の高い業務をできる限り減らし、より付加価値の高い業務に変革していきたいです。

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