Aidemy Business

DXを推進するリーダーシップの定義
〜リモートワーク環境下でのリーダーシップ・マネジメント〜

新型コロナウイルスの影響を受け、多くの企業がリモートワークを導入し従来の働き方が難しい日々が続いている。この環境下でDX推進をするためのあるべきリーダーシップ・マネジメントについて多くの方々が悩まれている。

2020年5月29日(金)ソニー株式会社 元執行役員副社長 鈴木智行氏をお招きし、株式会社 アイデミー 代表取締役社長 石川聡彦が

「リモートワーク環境下でリーダーシップ・マネジメントはどうあるべきか?」

をテーマに対談した。

登壇者紹介

鈴木 智行

株式会社アイデミー社外取締役/ソニー株式会社 元執行役副社長。

1979年ソニー株式会社入社。ソニー・イメージセンサ事業において、黎明期から事業拡大を担い、今日における同社のイメージセンサの礎を築く。2015年執行役副社長就任。イノベーティブなソニーの製品創りをリードする傍ら、リーダーシップ、マネジメントについて社内教育を実施してきた実績を持つ。ソニーR&Dの重点領域である、AI×Roboticsを主導し、ソニーの史上最高益に貢献。現在、株式会社アイデミーの顧問を務め、2020年より株式会社アイデミーの社外取締役に就任。

石川 聡彦

株式会社アイデミー 代表取締役社長

「Forbes U30 Japan 2019」選出。元歌舞伎子役。東京大学工学部卒、同大学院中退。AIの内製化ソリューションAidemyを提供。著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA/2018年)『投資対効果を最大化するAI導入7つのルール』 (KADOKAWA/2020年) など。

DXを推進するリーダーシップの定義

──コロナ禍においてDXを推進するためのリーダーに必要な資質は何ですか?鈴木さんのご意見からお伺いさせてください。

鈴木

「リーダーシップを発揮するとはどういうことか?」これはソニーの大きな教育テーマでもありました。

私は「大きな絵を書き、そこに人を巻き込んでいくことだ」とよく話します。大きな絵を描く=長期的展望を描く、未来が見えるか、未来が語れるか、つまり“先見性”です。次に「人を巻き込む」ためには、人との“信頼関係”も必要となります。そして描いた未来を実行していく“実行力”。この3つのワードにまつわる一連の流れがリーダーシップを発揮することだと思います。

石川

鈴木さんがお話された3つのワードの中で、特にアイデミーは“実行力”を大切にしています。アイデミーの創業当時から、挑戦すること、常に手を動かすことを大切にしてきました。私はスタッフに「常に挑戦しよう」とメッセージを発信していまして、今ではそれがアイデミーのカルチャーとなっています。

リーダーになる人の強みはそれぞれですが、私は2つのタイプがあると思います。

1つ目は自分のビジョンを語り風呂敷に広げるタイプ。2つ目はやることをひたすら作り上げ、手を動かすタイプです。私は後者に当たるのですが、鈴木さんのお話を聞いて“ビジョンを語る”スキルも身に付けなくてはならないと思いました。

──先ほどのリーダーシップに必要な3つのスキルを身につけるためにはどうしたらいいのですか?

鈴木

自分自身の姿勢がとても大切になります。自分の弱み・強みを把握し、強みをいかに伸ばしていくか。つまり常に進化成長し続けるんだという姿勢が大切です。ミドルマネジメントやトップマネジメントは。新しい市場を開拓していく中で、常に自分を進化成長させることが必要です。

自分が進化成長していくために新しい挑戦へ駆り立て、3年先、5年先の自分がなりたい姿やキャリアを見定め、そこに到達できるように学習訓練していくことがとても大切です。

石川

20代という私の年齢もあるのかもしれませんが、「将来こうありたい」というイメージがつきにくいことがあります。

多様な変化があるこの世界の中で、10年20年先の未来を描く難しさがあると思うのですが、鈴木さんはどのように考えますか?

鈴木

例えばエレクトロニクス業界ですが、業界がどのように進化・成長していくのかを考える時、半導体の進化が大きなトレンドセッターとなります。半導体の進化を読むことができれば、エレクトロニクス業界の未来が読み切れると思います。将来を読むとき、何をベースに置くかが大きなポイントとなります。

私は新しい技術の獲得が絶対的に将来を作っていくと思います。技術のトレンドをベースに読み切ることで、商品、サービス、システムの一連の将来も見えますので、メガトレンドは非常に重要です。

もう1つは「何を大切にして生きていくか」という自分の価値観です。この価値観に則って、人間社会の進むべき方向性を大きな視点で見る必要があります。“トレンド”と”価値観”の2つを軸に未来を描いてゆくのです。未来は見ようとしない人には絶対に見えません。未来をみる訓練です。

石川

鈴木さんは、どんな訓練をされたのですか?

鈴木

私はたくさん本を読みました。ミドルマネジメントの頃から毎週1冊、ありとあらゆるビジネス書を読み、そこから色々なことを学びました。

コロナ禍においてリーダーがとるべき行動とは何か?

──我々は新型コロナウイルスの影響を受け、多くの企業活動が制約され、危機に瀕しています。危機に直面した際にリーダーがとるべき行動とは何ですか?

優良企業であるソニーも過去に危機に直面したことがあるかとは思いますが、どのように危機から脱したのですか?

鈴木

2011年、私はソニーの本社に呼ばれました。ソニーは年間の純損失が5000億円を超えるほどで倒産を危惧されていました。私は当時の平井CEOから技術をベースにソニーを立て直してくれと言われました。

私は設立趣意書のコピーを全社員に配りました。危機的状況においては、本質を見極め追求することがとても重要になります。

技術の差異化によって映像と音を極め、新しい価値を提供して感動を与える、ソニーのベースであるエレクトロニクスカンパニーという原点に立ち返りました。新しい顧客価値を持った商品、サービス、システムが世の中に出てきてソニーが立ち直ったと考えています。

石川

本質を極めると、本質から外れている部分を切り落とすという見方もできると思います。設立趣意書から立ち返ると、ソニーのように多様な事業展開をしている場合、そこから外れている事業も出てくるのではないかと思います。その事業部からの抵抗はあったのか、どのように折り合いをつけ話を進めたのですか?

鈴木

多くは語られていませんが、かなり厳しいリストラを行いました。技術の根幹を司っているR&Dプラットフォームで取り扱っているテーマで、ソニーの本質からずれているものは外れてもらいました。

典型的な例はVAIOですが、ソニーの本質から外れている以上は選択に至らないのです。
経営にとって大切なのは選択と集中だと思います。多角化はしているけれど筋が通っている、本質があって連携している状態が大切だと思います。

石川

鈴木さんから教えて頂いた言葉で「戦略とはやらないことを決めることだ」という言葉を思いだしました。お話頂いた内容は、その言葉を突き詰めた姿なのだと思いました。

鈴木

隣の芝生は青く見えるので、挑戦したくなる事業が出てくるものです。自分たちの強み、弱みを見定めて、どの事業に手を出すべきなのか分析して戦略を立てていく必要があります。経営者が一番取り組まなければならない点と重なります。

急加速するDX時代においてアフターコロナをどう捉えるのか?

──経営者の立場として、コロナ後の世界をどのように見据えていますか?

鈴木

企業活動の最終的な目標は、その成果が社会や人の幸福に結びつかなければならないと思います。新型コロナウイルスが企業活動に支障をきたしていますが、この点がいかなる状況でも変わりありません。

新型コロナウイルスの感染拡大によって浮き彫りになった日本の社会構造や企業活動の問題点、それを生かすことができたら、違う社会構造を作り出すことができると思います。このような状況下でも本質は変わることなく、自分の拙さを学ぶという視点を持つことが大切だと思います。

──原理原則、基本姿勢、志、非常に重要な点をお話いただきました。石川さん、2020年の5月にアイデミーは会社のミッションをブラッシュアップしました。会社の在り方を一言で体現する大きな指針に関して石川さんよりご意見聞かせください。

石川

「先端技術を、経済実装する。」
2020年6月のオフィス移転のタイミングで、をブラッシュアップしました。「戦略とはやらないことを決めることだ」という鈴木さんの言葉が非常に心に残っています。自分たちがやらないことや突き詰めるべきことは何だろうかと考えた時、「先端技術」という言葉を大切にしたいと思いが先ずありました。人々の幸福、生活が豊かになることは大前提の上で、新しい技術こそが人々の生活を豊かにするソリューションではないかと思うのです。先端技術を介してより幸福でより豊かな生活を追求できたらと考え、この言葉を選びました。

「経済実装する」は、アイデミーがアカデミアとして突き詰めるのではなく、企業や社会に先端技術を実装していくことで認知されていきたい、という思いを込めました。

──ミッションに立ち返ることが重要なのですね。危機に直面しても、自分を見つめ直す基本姿勢、企業活動の結果が人々や社会の幸福に繋がらなければならないという本質について語っていただきました。鈴木さん、石川さんありがとうございました。

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