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【DX人材育成支援事例】ニコンがアイデミーの伴走支援で築いた「実務で活きる」人材育成アプローチ

ライフサイエンス、アイケア、細胞受託生産の3領域で事業を展開する株式会社ニコン ヘルスケア事業部。同社初の顕微鏡「JOICO顕微鏡」を発売してから100周年を迎える2025年、光学技術とソフトウェアを融合し、研究・創薬領域への価値提供を拡大しています。

「ハードウェア×ソフトウェア」が競争力の鍵となる今、同事業部では「学び→実装→定着」を見据えたDX人材育成を推進。アイデミーとの連携を通じて、オンライン学習・ハンズオン研修・伴走支援、さらにスキルマップ・表彰制度を連動、教育を「イベント」で終わらせない仕組みを構築しています。

今回は、人材育成担当のヘルスケア事業部 事業企画部 吉田祥子様、開発者の専門性強化担当の同事業部 ソフトウェア開発部 小松亮介様に、取り組みの背景から成果までを伺いました。

企業名株式会社ニコン
事業内容光学機械器具の製造、ならびに販売
従業員数連結 20,069 名 / 単体 4,634 名(2025年3月末現在)
利用サービスAidemy Business:AI/DX eラーニングサービス
Aidemy Practice:AI/DX 実践型研修
Aidemy Solutions:AIシステム開発
導入目的デジタル/ソフトウェア人材育成
Webサイトhttps://www.jp.nikon.com/

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DX人材育成実施の背景

吉田様、小松様
ニコンは精密機器メーカーとしてハードウェアや光学分野で強みを築いてきましたが、近年は「ハード×ソフトの融合」が競争力の源泉と捉えられるようになりました。
ヘルスケア事業部は映像・精機に次ぐ全社3番目の規模を誇り、将来の成長ドライバーとして期待されています。
2017年に複数部署が統合されて発足した新しい事業部で、多様なバックグラウンドを持つ社員間の「共通言語」の確立と、教育の仕組みづくりが急務でした。
私たちが目指すのは、「ITやAIの基礎的な理解を深め、将来的にお客様へより価値あるサービスを提供できる人材の育成」です。
その実現に向けて、「全員のリテラシー向上」と「専門性強化」の二本柱で育成ロードマップを描き、学びを実務活用・定着へとつなげる取り組みを開始しました。

STEP1 全社員のリテラシー底上げ ― Aidemy Businessによる基礎教育 ―

吉田様
2017年の事業部発足以降、顕微鏡の基礎教育に力を入れてきました。2022年頃からお客様よりAIソリューションの問い合わせが増え、ヘルスケア事業部の全社員向けにオンライン学習、Aidemy Businessの利用を開始しました。
定着のために、理解度確認テストでは80%以上の正答を必須化しています。並行して全員向けにITパスポート受験も推進しています。
ただし、合格が目的ではなく、「まず受けてみる」文化を醸成することが大事という方針のもと、学びを自発的な行動へと変える風土づくりを進めました。
こうした取り組みにより、事業部全体のデジタル理解が一段引き上げられ、次のステップへ進む基盤が整いました。

STEP2 :アイデミーのハンズオン研修を活用したソフトウェア開発者育成

吉田様
さらに、実務に直結するスキルを習得するため、2023年夏と冬には、アイデミーのハンズオン研修を2回、それぞれ3ヶ月の期間で実施しました。
Aidemy Businessで高い成果や積極性を示したメンバーを中心に選出し、Pythonによるデータ処理や機械学習モデル構築、Webアプリ開発(Flaskなど)までを実践的に体験しました。研修前にオンライン講義で予習を必須化し、その後ハンズオンで実施という、「基礎→実践」という流れを設けることで、「受けて終わりにしない教育」を意識しました。
この実践的学びを通じて、社員のスキルが着実に定着し、ソフトウェア開発者としての視座も向上しました。

開発工程研修事例記事

STEP3:「伴走型研修」で生成AIを「作る側」へ 
― 現場課題をテーマに自分たちで構築 ―  

小松様
ソフトウェア開発者にとって、「AIを使える」だけでは不十分です。外部委託の是非を判断するにも、自ら開発を経験することが必要だと考えました。
そこで、2024年からは、専門家の支援を受けながら実践的に開発を行うアイデミーの「伴走型研修」を選択しました。
当事者意識を持って取り組めるよう、自分たちのリアルな課題である「SharePoint上の設計情報を検索できる対話型RAG(Retrieval-Augmented Generation)」をテーマに設定し、開発を進めました。
参加メンバーは5名と少数で、通常業務の中で一斉に揃わないこともありましたが、録画視聴やTeamsでの個別フォローで柔軟に補完し、時間制約を乗り越えました。
データ収集・整備といった「地道で泥臭い作業」の連続で、意欲が低下しかけましたが、この「キラキラしない⽣成AI開発の裏側」を体感すること自体が最大の学びでした。
さらに、中堅・ベテラン層の積極的な参加も印象的でした。「DXは若手中心」という先入観に反し、長年の経験を活かし、研修内容を即業務に適用するなど、自身の強みを新たなスキルで磨く動きが生まれました。

DX人財育成における課題と対策 
― スキルマップと評価連動による継続性の確立 ―

吉田様
教育を進める中で明らかになった課題は以下の5点です。

  1. 受講者選抜のミスマッチ
  2. 教育成果を短期的に可視化する難しさ
  3. 担当者交代時の継続性確保
  4. 受講管理の事務負荷
  5. 教育記録の煩雑さ

これらに対し、スキルマップと連動した教育管理システムを導入しました。
受講者選抜は、上長推薦と本人の「手挙げ」方式を併用することで選抜の精度を高めています。「スキルマップに基づく、上長からの的確な研修推薦」と「社員自身が研修に応募できる「手挙げ式」」をかけ合わせることで、ミスマッチが出ないようにしています。
さらに、研修が「単発イベント」で終わらず、評価制度と連動するよう、目標管理面談と紐づけています。スキルの向上と自身の業務、そして部署の目標を紐づけて、間接的に評価が得られるという仕組みをつくり、形骸化しないよう心がけています。

成果:ソフトウェア開発力の強化と学びの循環

吉田様
Aidemy Businessを活用したリテラシー教育では、「DXとは何か」「AIをどう活用するのか」という共通言語を獲得でき、事業部全体のデジタル理解を一段引き上げることができました。
ハンズオン研修の成果としては、ソフトウェア開発に関わる社員が増え、社内で新たにソフトウェア開発部が発足。メカ設計など他職種から異動し、製造業としてのDX推進力が高まりました。また、アイデミー講師のサポートが手厚く、受講者からは「実務に直結するスキルが身についた」「自分にもできるという自信がついた」という声が多く寄せられています。
また、アイデミーのPowerApps研修やハンズオン研修で得た成果を業務改善につなげた社員を表彰する「ABCD Award」という表彰制度を設けています。身近な業務ではじめた小さな改善もしっかり表彰して大きなものにしていこうという活動です。
受賞した人の事例発表が次の挑戦者を生みます。周囲からの刺激を受け「自分もやってみよう」という学びの好循環が事業部内で広がっています。

小松様
伴走支援での開発経験を通じて、「地に足のついた判断力」が養われました。生成AIも、ターゲットを明確にし、地道に積み上げることが何より重要だと実感しています。
技術の限界と現実的な工数感覚を養う貴重な機会となりました。

DX人材育成における今後の展望

小松様
「若手だから」「ベテランだから」という色眼鏡を外し、意欲のある全ての人にチャンスを提供することに、組織変革の突破口があるかもしれません。
地道でも「作ってみる」経験が判断力を育てます。私たちも道半ば。現場での一歩一歩が、未来のお客様への価値提供に繋がると信じています。

※本資料には「Confidential」との表記がありますが、内容の公開についてはお客様の承諾を得ています。

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Aidemy Practice:AI/DX実践型研修
Aidemy Solutions:AIシステム開発


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