生成系AIは近年、その優れた能力と活用の可能性から注目を浴び、ますます人気が高まっている。この成長著しい分野において先駆的な存在であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下:AWS)と株式会社アイデミー(以下:アイデミー)の特別対談を2023年7月5日に実施した。
参加者の関心と期待は非常に高く、申込者数は700名を超え、製造業をはじめとした様々な業界の方にご参加いただいた。
セミナーでは、AWS、アイデミーがそれぞれ「生成系AIの動向」をどのようにとらえているかを議論。本記事では、当日の内容を一部抜粋してお届けする。
※本セミナーはアイデミーが提供しているオンラインDX ラーニングの「Aidemy Business」のコース「機械学習活用プロジェクトの進め方 : AWS AI/ML Enablement Series Light Part」「AWS で機械学習の開発運用を効率化する : AWS AI/ML Enablement Series Dark Part」の公開を記念したセミナーです。
登壇者紹介
AWS 業務執行役員 人工知能/機械学習(AI/ML) AWS アジア太平洋・日本担当
ルーク・アンダーソン
アジア太平洋と日本におけるアマゾン ウェブ サービスの人工知能/ 機械学習(AI/ML)事業を統括。お客様環境における機械学習活用に役 立つソリューションの認知度を高め、安全確実に運用していただく 事業を担当。また前職では、KPMG とアクセンチュアにて統括ポジションを歴任。 KPMGテクノロジー・セクター・リーダーおよびテクノロジー・ア ドバイザリー・プラクティス・リーダーとして、IoT(モノのイン ターネット)コンサルティング事業を立ち上げから担当。オーストラリア大学経営大学院(AGSM、UNSW)にて経営学修士 号(MBA)取得済。
株式会社アイデミー 代表取締役執行役員 社長CEO
石川 聡彦
株式会社アイデミー 代表取締役執行役員 社長CEO。東京大学工学部卒。同大学院中退。在学中、研究・実務でデータ解析に従事した経験を活かし、AIを中心としたDX人材育成サービス「Aidemy」や機械学習モデルの実運用支援サービス「Modeloy」を開発・提供している。著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA/2018年)、『投資対効果を最大化する AI導入7つのルール』( KADOKAWA/ 2020年)など。世界を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019」「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」選出。
最近の生成系AIの動向
──司会「早速ですが、ChatGPTをはじめとした生成系AIが話題になっています。石川さんは生成系AIの動向についてどのようにお考えですか?」
石川
生成系AIは2023年に入って著しく成長しています。例えば、オープンAI社のChatGPT、触ったことがある方が多いのではないでしょうか。生成系AIの技術分野は非常に広く、ChatGPTのようなテキスト生成の分野の他にも、画像生成、音声生成、そして動画生成といった様々な分野に広がりを見せると思っています。AWSでは7月に生成系AIの構築のためのツールを発表されたと聞きました。ぜひ詳しく教えてください。
ルーク
生成系AIが世界を席巻していますがこれはまさに2022年に登場したChatGPTのような消費者向けのアプリケーションを通して最新機械学習がいかに強力であったかを証明したかと思います。一方で企業に目を向けると、生成系AIを利用することで、お客様あるいは従業員に対して素晴らしい体験を提供する大きなチャンスがあると考えております。AmazonおよびAWSはこれまで20年にもわたり、AI機械学習の研究・開発に取り組んできました。Amazon倉庫のロボットのピックアップルート、アメリカで使用されているドローン配達サービス「Amazon Prime Air」、完全無人のコンビニ「Amazon Go」をはじめとした30以上のサービスで機械学習を提供しています。私たちはこうした事業を通じて機械学習を真の意味で民主化させるため、次の3つに力を入れたいと考えています。
- 生成系AIの学習、推論、トレーニングのインフラへの更なる投資。
- Amazon Bedrock(生成系AIの基盤モデルで簡単に開発が始められ
るサービス)の提供。 - Amazon CodeWhisperer(
安全にアプリケーション開発が出来るAIコーディング支援サービ ス)の提供。
石川
AWSの取組をお伺いし、非常に興味深く聞いておりました。ちなみに、日本では「生成系AI=ChatGPTが一強」という雰囲気ですが、この点はどのようにお考えですか。
ルーク
私達が日本で非常に興味深く観察していることは、日本には世界的に有名な企業があり、お客様の裾野、
石川
AWSではユーザーのために生成系AIのインフラをしっかりと整えられてことを改めて実感しました。AWSの生成系AIの事例やユースケースをお伺いできますか。
ルーク
生成系AIのアプリケーションを立ち上げるためにAWSを活用しているお客様は多く、テキストの要約、画像や動画の生成など様々なユースケースがあります。具体的な企業の活用事例としては、テキストからイメージを生成するアプリケーションを提供しているオーストラリアの「Canva社」があります。Canva社は1億以上のユーザーに利用されています。例えばCanvaの背景画像生成アプリ等は、AWSの機械学習ツールAmazon SageMakeで開発、ファインチューニングされています。また画像生成基盤モデルを提供するStability AI社では、Amazon SageMakerに加えて、
アイデミーは生成系AIをどのように活用するか
──司会「石川さんから質問が多くありましたが、ルーク様からご質問はございますか?」
ルーク
先日6月22日に東証グロース市場に上場されたとのこと、おめでとうございます。今後、様々な提供コンテンツにおいて、アイデミーが生成系AIをどのように活用していくのかをお聞かせください。
石川
祝福のお言葉をありがとうございます。アイデミーでは生成系AIを中心としたAIという技術、そしてデジタル技術全般を拡大していきたいと思っています。そこでアイデミーとして生成系AIとの付き合い方を3つ考えています。
- Aidemy Businessの学習コースで生成系AI関連のコースを増加。
- Aidemy Businessの質問対応をChatGPTが作成したドラフトを従業員が修正することで生産性の改善。
- お客様と一緒に生成系AIを活用し、共同開発することで、技術開発に貢献。
今後のAIの動向に対しての考え
──司会「最後に、お2人ともAIという領域で仕事をされている中で、今後のAIの動向についてはどのようにお考えですか?」
石川
アイデミーがサービスを開始した2017年、当時もAIブームと呼ばれていて、様々なAIのユースケースが注目されていました。そこから約6年、ブーム再来と言われて生成系AIが注目されています。ブームというと、いつか終わるが来るように感じるかもしれませんが、AIは10年20年というスパンの中でずっと注目され続けていたテーマであり、今後5年10年先もこのトレンドは変わらないと思います。そして、AIの重要性、データの重要性そしてそれを支えるデジタルクラウドの重要性、これは加速していくものだと思っています。だからこそ、アイデミーもこの領域の技術開発にさらに投資をしていきます。
ルーク
私も今後、AI技術の発展がさらに加速していくと思っています。AI技術がますます求められる中で、AWSに出来るご支援は
- お客様自身のデータとWeb上のデータを安全に組合せた生成
系AIが活用できる環境構築のご支援 - AI開発を支えるアクセラレーターを始めとする仮想プライベ
ートインフラ環境の充実 - 今後さらに需要が増えるデータサイエンティストの為の、AI・機械学習コンテンツを、アイデミーを通じてご提供
最後に
今回、非常に多くのお申し込みを頂いただことで、生成系AIへの関心とその重要性がますます高まっていることをを改めて実感しています。また、ルーク様と対談は、AWS様の生成系AIをはじめとしたAI技術の発展に向けた取り組みやその姿勢に触れることができ、私どもにとって貴重な機会となりました。
またページの都合上、掲載することができませんでしたがこの特別対談の後には、AWS様にご提供いただいている「Aidemy Business」のコース「機械学習活用プロジェクトの進め方 : AWS AI/ML Enablement Series Light Part」「AWS で機械学習の開発運用を効率化する : AWS AI/ML Enablement Series Dark Part」の講師を担当下さった呉様、久保様にもご登壇いただいております。コース内容について熱く語っていただいておりますので、公開中のアーカイブ動画よりぜひご覧ください。
最後に、本セミナーへの参加者、特別対談にご協力いただいたAWS社の皆様、そしてセミナーの成功に尽力してくださったすべての関係者に感謝の意を表します。本当にありがとうございました。
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